正しい犬のしつけ方 19 痛みと、熱と。 「く、ぁ・・・っ」 身体が造り変えられるような感覚に、イルカはカカシの腕を跡が残りそうな程にきつく握り締めながら、秘所をピリピリと刺激する痛みと圧迫感に耐えていた。 「ッ！イルカ、せんせ・・・っ、ちょっと緩めて・・・っ」 そう言われて出来るくらいならやっている。 無理だと首を振るイルカのきつく奥歯を噛み締めている顎を掴んだカカシが、そこに力を込めて無理矢理口を開かせた。 そうして、ぴったりと唇を合わせてくる。 「んぅ・・・っ、ふ・・・っ」 舌を差し込まれてしまい、それを噛むわけにもいかなくなったイルカは、詰めていた息を一瞬鼻から逃した。 その瞬間。 「んぁあッ！！」 一気に奥まで穿たれて、イルカは仰け反った。 ハァハァと荒い息を吐いていると、こちらも息を荒げたカカシが、 「だい、じょうぶ・・・？」 と、汗で頬に張り付いた銀髪を、片手でわずらわしそうにかき上げながらそう聞いてきた。 （うわ・・・） その艶やかな仕草に、ついドキンと胸が高鳴ってしまい。おまけに、中もきゅっと締まってしまったようで。 「く・・・ぅッ」 途端にカカシが眉間に皺を寄せてつらそうに呻いた。 「あっ。ご、ごめ・・・ぁうッ！」 謝ろうとしたら、キッと睨んできたカカシにズルリと中を擦られた。 「・・・そういう事するなら、もう我慢しない」 低く呻るようにそう言ったカカシが、何をされるのかと怯えるイルカの首筋へと顔を埋めてくる。 そうして、腰をゆるゆると揺らしながら、すんすんと匂いを嗅ぎ始めた。 「んっ、ぁあ・・・ッ！」 カカシが匂いを嗅ぐたびに、イルカの中のカカシがさらに大きくなっていく。 カカシに匂いを嗅がれるたび、痛みや圧迫感よりも快楽が強くなってくる。 ピィンと尖った胸の突起を、カカシの指が捏ね回す。 少し力を無くしていたイルカの雄を、カカシの手がきつく握りこんで扱く。 イルカの締め付けが緩み始めたのか、カカシの動きが徐々に激しくなってくる。 「すっごいヤラシイ匂いがする・・・」 腰を動かしながら耳元で匂いを嗅ぐカカシにそんな事を囁かれて、イルカは堪らずぎゅっと瞳を閉じた。 （イ、きそ・・・っ） その頃にはもう痛みなんて消えていて、イルカの中のイイ所をカカシの太くて硬い熱棒が擦るたび、イルカの怒張は快楽に震えていた。 張り詰めているイルカの先端を、カカシの指がぷつりと押し潰すように刺激し始めた事で、イルカの我慢の限界が訪れる。 「あっ、だ、め・・・っ！ぁああッ！」 「・・・っくッ！」 イルカが遂情したその瞬間、カカシもくっと眉間に皺を寄せ、イルカの最奥に叩きつけるように腰をぶつけ、中で弾けた。 荒い息の中、内部に注がれるカカシの精を感じながら、イルカは強張っていた身体からくたりと力を抜き、カカシの腕をきつく掴んでいた手を離した。 が。 「んぁ・・・っ」 少し引き抜いたカカシが、イルカへと伸し掛かりながらぬちゅという卑猥な音を立てて中を擦り上げてきた。慌ててカカシの身体を押し返す。 「・・・もう一回してもいい？」 「な・・・っ」 小首を傾げて少し困ったようにそう訊ねてくるカカシの雄は、二度も放出したというのに猛ったまま。 このままだと、餓えたカカシに気絶するまで貪られると焦ったイルカは、慌てて「もう駄目ですよッ！」と断ろうとしたが。 「・・・ね？お願い」 押し返していた手を握られる。そっとそこに口付けるカカシに、少し上目遣いでそうお願いされてしまったイルカは、「うッ」と呻った。 カカシの銀髪の合間から、ぺたんと垂れた犬耳が覗いている。 久しぶりに見るカカシの「お願い」攻撃に、断りの言葉が引っ込んでしまう。 駄目と言えずに困っているうちに、カカシが動き出してしまい。 イルカはその日、気絶するまで散々カカシに貪られた。 それから数日後。 受付所のカウンターでいつものように受付業務をこなしていたイルカは、報告者の列が途切れたのを幸いに、はぁと溜息を吐いた。 「カカシさん・・・」 呼び名を『先生』から『さん』に変えてとカカシから言われたのは、つい先日の事だ。 やっと恋人になれたんだからと「お願い」されてしまえば、それに弱いイルカは断れるはずもなかった。 だが、カカシが再びイルカに懐き始めたのと、イルカが『カカシさん』と呼び名を変えた事で、二人が付き合い始めたという噂が里中に広がってしまった。 「んー？」 イルカに名前を呼ばれたカカシが、下から嬉しそうにニコニコと見上げてくる。 ふさふさの尻尾をブンブンと振って。 その姿につい微笑みそうになったイルカだったが、慌てて怖い顔を作り、イルカの足元に座って膝の上で懐いているカカシを睨みつけた。 「・・・どうしてここにいるんですか。今日の七班は収穫作業のお手伝いのはずでしょう？」 「あぁ、大丈夫。影分身置いてきたから」 何でもない事のようにそう言って、カカシがイルカの太腿にスリスリと頬を寄せる。 さらには、すんすんと匂いを嗅いで。 不埒な手がさわさわとイルカの尻の辺りを擦り始めたところで、イルカはニッコリと笑みを浮かべた。 「う・・・っ」 それを見たカカシが、びくぅっと震えてピタリと動きを止める。 「・・・行って来なさい」 笑みを消してくっきりと眉間に皺を寄せ、低くそう告げたイルカに、犬耳をぺたんと垂れたカカシが「ここにいちゃダメ？」と言わんばかりに見上げてくる。 うるうると瞳を潤ませた仔犬のようなその表情に、つい絆されてしまいそうになったが、それでも、イルカは心を鬼にして怖い顔を保ち続けた。 そんなイルカをしばらく見上げていたカカシだったが、イルカの表情が変わらない事を知ると。 「・・・行って来ます・・・」 やっと諦めたのか、悲しそうな声でそう言って、のろのろと立ち上がった。 ドアへと向かうカカシを見送りながら苦笑する。 いつも以上に丸まった背中と、垂れた犬耳と尻尾が哀愁を漂わせていて可哀想になるが、これもしつけだと心を鬼にする。 ドアの所で往生際悪く振り返ったカカシに、行ってらっしゃいと最上級の笑みを浮かべて見せて手を振る。 滅多に見せないイルカのその笑みに、許して貰えないと分かったのだろう。 カカシは泣きそうな顔をして受付所を出て行った。 イルカはずっと、いつか犬を飼いたいと思っていた。 （まぁ、犬、だな・・・） そのイルカは今、銀色の毛並みを持つ大型犬をしつけている最中だ。 可愛らしくて、でも、すぐイルカに手を出す相当な駄犬だが、その駄犬も正しくしつければ忠犬になる。 しつけに大事なのは、飴と鞭。 悪い事をした時にはきちんと叱り付け、いい事をした時には徹底的に褒める。 （帰ってきたらご褒美をやるか） ちゃんと任務に向かったカカシへのご褒美に、仕事が終わったらカカシの好物を用意して家で待っていよう。 秋刀魚の塩焼きに茄子の味噌汁に、それと、イルカも特別に。 そんな恥ずかしい事を一人考えて赤面してしまったイルカは、新たにやって来た報告者に「風邪か？」と心配されてしまったのだった。