きっとまた手を繋ぐ 番外編 2 後編 薄暗い寝室のベッドの上。 「ぁふ・・・っ、ン、ん・・・っ」 綺麗に整えられていたシーツの上にイルカの身体を下ろしたカカシは、僅かに開かれていたその唇を熱く塞いだ。そのまま、少し乱雑な手付きでイルカの衣服を剥がしていく。 久しぶりの情交だ。かなりの時間を掛けて慣らさなければ、イルカにまた怪我を負わせてしまうだろう。 以前と同じ場所に潤滑液が置かれているだろうか。 口付けを解いたカカシは、自らの忍服を脱ぎながら、ベッド上部に置かれている小さな棚へと視線を向ける。 すると、その棚に僅かに息を乱すイルカの手が伸ばされた。 棚の中から取り出した潤滑液を手に取ったイルカが、羞恥にだろう。全身を真っ赤に染めながらも、たっぷりと濡らしたその手を、衣服を剥ぎ取られた自らの下肢へと伸ばす。 「ん・・・っ」 イルカの指先が可愛らしい蕾へと埋められ、イルカが自ら秘孔を解す様を目の前で見せ付けられたカカシは、その深蒼の瞳を大きく見開いていた。 前への刺激だけでは満足しなくなったイルカに、秘孔を可愛がる方法を教え込んだのはカカシだ。 離れていた間、こうやって自分を慰めていたのかもしれないと思うと、イルカの痴態を見つめるカカシを眩暈が襲った。 「カカシ、さま・・・っ」 秘孔を解していた指をずるりと抜き出したイルカが、早くと言うようにカカシの名を呼ぶ。 「・・・っ」 それを聞いた途端、まだ早いとか、もう少し解さなければ駄目だと訴える理性の声が遠のいた。 激情のまま襲い掛かりそうになる自分を懸命に律し、ズボンの前を寛げるカカシは、痛い程に猛る愚息の先端をイルカの秘孔に押し当てる。 「いくよ」 余裕など全く無い声でそう宣告し、カカシは張り詰めた先端をぐぐと押し込める。 「・・・っ、アア・・・ッ!」 途端、やはりまだ充分に解れていなかったのだろう。高い嬌声を上げたイルカの背が大きく反らされ、その眉間に深い皺が刻まれた。 「・・・ッ」 それに気付いたカカシの動きがピタリと止まる。 このまま突き進めば、イルカにまた怪我を負わせてしまうかもしれない。 奥へ突き進もうと逸る気持ちを、残っていた僅かな理性で捻じ込め、きつく奥歯を噛み締めるカカシが一旦身を引こうとした時。 「ぃ・・・や、です・・・っ」 いやいやと首を振るイルカから抱き付かれた。 「このまま・・・っ」 このまま奥まで来て欲しいと促されるも、カカシは「でも」と躊躇する。すると、涙を纏うイルカの瞳が、縋るように見上げて来た。 「大、丈夫ですから・・・っ」 そう言われ、カカシは自らの愚息を引き抜く動きを止める。 カカシ同様、イルカも早く一つになりたいと思ってくれているのだろう。 「・・・分かった。でも、ケガはさせたくないからゆっくりね・・・?」 自分に言い聞かせるようにそう言って、嬉しそうな笑みを浮かべて小さく頷いたイルカの秘孔を、カカシは殊更ゆっくりと犯していく。 (・・・す、ご・・・) 痛い程に絡み付いて来るイルカの内部が、心地良過ぎて堪らない。気を抜けば持って行かれそうになるのを懸命に堪え、奥へ奥へと突き進むカカシはその眉間に深い皺を刻む。 「・・・挿・・・った・・・」 あれだけ何度も愛し合っていた二人だ。 イルカの身体はカカシの事を覚えていてくれたらしい。奥まで到達した後、深い溜息を吐くカカシがしばらく動かずに居ると、きつかった締め付けが徐々に緩み始めた。 「・・・カシ、さま・・・っ」 「ん・・・?」 カカシの首筋に恥ずかしそうに顔を埋めるイルカから、小さな声で動いて欲しいと強請られ、もう大丈夫だろうと判断したカカシは、押さえ付けていた劣情を解放する。 「ひぁ・・・っ、ン、あ・・・ッ」 高い嬌声を上げながら晒されるイルカの喉元。 イルカの秘孔を深く重く突き上げながら、艶かしい首筋に吸い付くカカシは、胸に溢れるこの想いを、濃厚な愛撫に変えて伝える事に夢中になっていった。 * 外は今日も良い天気なのだろう。 引かれたカーテン越しに降り注ぐ柔らかな日差しが、カカシの腕の中で心地良さそうに眠るイルカの覚醒を促している。 「ん・・・」 喘ぎ過ぎたからだろう。眩しそうにむずかるイルカから漏れる声は、すっかり掠れてしまっていた。 「・・・起きた?イルカ先生」 小さくそう声を掛けながらイルカの額に片手を置くカカシは、イルカが発熱していない事に内心ほぅと安堵の溜息を零す。 そんなカカシの目の前。閉じられていたイルカの瞳がゆっくりと開かれ、まだ寝惚けているのだろう。ぼぅっとした表情でカカシを見上げて来るイルカが可愛らしい。 「おはよ。と言っても、もうお昼だけど」 だが、深蒼の瞳を愛おしそうに眇めるカカシのその言葉で、一気に目が覚めたらしい。 「・・・っ、つ・・・ッ」 小さく息を呑んだイルカが慌てたように起き上がり掛け、続いて、腰が痛んだのだろう。元の場所へと崩れ落ちた。 「あぁ、ホラ。急に起き上がっちゃダメですよ、イルカ先生」 無理をさせた自覚なら嫌という程にある。 辛そうな表情を浮かべるイルカの腰を擦るカカシが、「ムリさせてゴメンね」と謝罪すると、ふるふると小さく首を振るイルカは、微かな笑みを浮かべて見せてくれた。 「・・・カカシさま」 柔らかい枕に片頬を埋めるイルカから、掠れた小さな声で名を呼ばれたカカシは、イルカの腰を擦る手はそのままに「ん?」と首を傾げて見せる。 「そこの棚の中を見て下さい」 面映そうな笑みを小さく浮かべるイルカが指で指し示した先。 「・・・コレって・・・」 イルカの腰を擦る手を止めたカカシが棚の中を探ってみると、そこに収められていたのは、名の在る匠の業物だろうと一目で分かる真新しい手甲だった。 「二年分のプレゼントですから、ちょっと奮発しちゃいました」 鼻頭の傷を掻きながら照れ臭そうに笑うイルカからそう告げられ、カカシは危うく泣きそうになってしまう。 「・・・ありがと。大事にする」 小さく笑みを浮かべるカカシが僅かに掠れた声でそう告げると、それを聞いたイルカは嬉しそうな笑みを浮かべて見せてくれた。 イルカが戻って来てくれて本当に良かった。 そう心から喜んでいたカカシだが、ふと、ヤナギから聞いていた見合いの件を思い出す。 カカシにはもう、イルカを手離すつもりは更々ない。 容易に断れないような見合いなら、前回と同様、この身を犠牲にしてでも阻止しなければ。 そう心に誓うカカシが、見合いの話が持ち上がってるというのは本当かと尋ねてみると、苦笑するイルカから「もう断りました」という言葉が返って来た。 ほぅと安堵の溜息を吐くカカシの目の前。 「俺には、生涯を共にすると誓った人が居ますから」 漆黒の瞳を愛おしそうに眇めるイルカからそうも続けられ、深蒼の瞳を僅かに見開くカカシは、堪らずイルカの身体を抱き締める。 「カカシ様、苦し・・・っ」 どこか嬉しそうな声でそう言うイルカの首筋に顔を埋めるカカシもまた、言葉には尽くせない程の感謝と、胸に溢れる愛おしさで苦しかった。 |
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