終わりなき世の始まりに喜びを 3





貪るように口付け、その口腔内を存分に堪能する。
「は・・・っ、ぅん・・・っ」
口付ける角度を変えるたび、酒精混じる甘い吐息を零すイルカが可愛らしい。
イルカの舌先をちろちろと擽ると、カカシの腕に抱き込んだイルカの感じ易い身体がぴくぴくと素直な反応を返し堪らなくなる。
深蒼の瞳を薄っすらと開けるカカシの視線の先。炬燵越しに腕の中に捕らえたイルカは、その頬を真っ赤に染め、ぎゅっと閉じた目尻に涙を滲ませていた。
(かわいい・・・)
何しろイルカに触れる事自体久しぶりだ。
息を乱しながらも懸命に口付けを受ける可愛らしいイルカの姿を見せ付けられ、任務の間カカシの中で抑え付けられていた情欲が一気に溢れ出しそうになるが、明日から二日程の休みを貰えているカカシとは違い、イルカは恐らく明日も普通に仕事だ。
今ここでそれを解放するのは非常に不味い。
けれど、一度触れてしまった身体を手放すのは容易ではなく、不味いと思いつつも、カカシはイルカに口付ける自分を止める事が出来ずにいた。
イルカの甘い吐息に煽られ理性が途切れるたび、暖かいその身体をより引き寄せようとするカカシの手。
それを、二人の間に挟まれる形になっている炬燵の足が、辛うじて邪魔をする。
邪魔だとは思うが、それを退けたら最後だとも分かっている。押し退けたい衝動を抑え、カカシは懸命に理性を手繰り寄せる。
そうしてイルカへの口付けを続けながらも、最後の砦となっている炬燵の足だけは死守しなければと、そう思っていたのに。
(ちょ・・・っ)
炬燵の足を邪魔だと思っていたのはカカシだけではなかったらしい。カカシが死守していた最後の砦を、イルカ自ら、炬燵から足を引き抜く事であっさりと押し退けた。
さらには、畳に付いた片手で身体を動かし、カカシの腕の中へすっぽりと収まってくる。
イルカの甘い香りが強くなり、胸元に縋り付いてくるイルカの身体をきつく抱き締めるカカシは、少々気が遠くなるのを感じていた。
二人の間にあった障害が無くなってしまい、その身体の心地良さを知っているイルカがより近くに来た事で、カカシの理性の糸が一気に細くなったのだ。
(あぁもう・・・っ)
イルカのこれは、喰って下さいと言っているも同然だ。
任務上がりのカカシにこんな事をすれば喰われると分かっているだろうに、イルカ自らカカシの腕の中へと来たのだ。襲い掛かりたいのはやまやまだったが、それでもカカシが理性を手放す事は無かった。
長い間抑圧されていたカカシの情欲が一度や二度の放出で治まるはずもなく、朝まで貪ってしまうだろう事が容易に想像出来てしまうからだ。
明日も仕事があるだろうイルカだ。自分の欲は抑え、イルカを高めるだけにしろと自分に強く言い聞かせながら、カカシはイルカの真っ赤に染まる耳元に手を添えた。そのまま浴衣の襟元へと手を滑らせる。
期待していたのだろう。襟元から忍び込ませたカカシの指先が胸元の飾りに辿り着くと、そこはぷっくりと膨らみ、まるで早く苛めて欲しいと訴え掛けているようだった。
「んぁ・・・っ、ン、ん・・・っ」
口付けを続けながら、爪先でかりかりと引っ掻くように刺激する。たったそれだけでもかなり感じているのか、身じろぐイルカの息が激しく乱れ始める。
苦しいだろうとようやく口付けを解いたカカシは、甘い嬌声を上げるイルカの耳元に唇を寄せた。
「・・・ソコもちゃんと可愛がってあげるから。足、もう少し開いて?」
「・・・っ」
浴衣の上からでも高ぶっていると分かるイルカの雄。それを押し付けていると気付いていなかったらしいイルカの耳元が、カカシの卑猥な囁きを受けて真っ赤に染まる。
(かわいい)
今更ながらに羞恥心を思い出したらしいイルカだが、その足を閉じる事は無かった。
カカシの片腕に真っ赤に染まる顔を隠すようにぎゅっと抱き付いてきたイルカが、俯くカカシの視線の先。ゆっくりと足を開いていく。
浴衣の裾が大きく乱れ、そこから現れたイルカの雄は、ふるふると羞恥に震え、その先端からは大量の涙を溢れさせていた。
(・・・凄いな・・・)
それを見たカカシから、ほぅと小さく感嘆の溜息が零れ落ちる。
「っあ・・・、あ・・・っ!」
ここで焦らすのは可哀想だ。
濡れるイルカの雄を握り込み、すぐさま扱き始める。にちにちと卑猥な水音が立ち、先端の括れを弄ると、高い嬌声を上げるイルカの身体がびくびくと跳ね上がった。
「カカシ、さ・・・っ。もう・・・っ」
久しぶりだから興奮しているのだろうか。荒い息を吐くイルカが早くも限界を訴えてくる。
「ん。我慢しなくていいよ」
「ん・・・ぅ・・・っ!」
小さく笑みを浮かべ、その先端を焦らす事無く刺激してやると、カカシの肩に顔を埋めたままびくびくと身体を震わせるイルカが、その先端から勢い良く廃液を迸らせた。
カカシが任務で居ない間、あまり吐き出さなかったのだろうか。掌に吐き出されるイルカの精はとろりと滑っており、いつになく濃厚な香りがカカシの鼻を擽っている。
(・・・足りないかもな・・・)
もしそうだとしたら、たった一度の放出では足りないかもしれない。
そう思いはしたが、これ以上の触れ合いはカカシの理性が限界だった。最後まで吐き出させ、イルカの乱れた浴衣を簡単に整える。
整えられるとは思っていなかったのだろう。まだ息を乱すイルカから不思議そうな視線を向けられ苦笑する。
「今日はコレでおしまい。ね?」
カカシがそう告げた途端、きゅっと眉根を寄せたイルカが嫌だと言うようにふるふると首を振った。
そんなイルカに苦笑を深める。
「もう少し可愛がってあげたいけど、これ以上はダメ」
「でも・・・っ」
イルカだけが遂情した事を気にしているのだろうか。イルカの手がカカシの下肢へ伸びようとする。
「こぉら、イタズラしないの」
それに気付いたカカシは、触れられる前にその手を掴み取り、首を振る事でイルカからの接触をやんやりと拒絶した。
「イルカ先生は明日も仕事でしょ?触られたら止まらなくなっちゃう」
カカシがそう告げた途端、ムッとした表情を浮かべたイルカがカカシの手を振り解いた。ズボンへと手を伸ばし、前を寛げ始めたイルカに驚く。
恥ずかしがり屋なイルカがこんな事をするとは思っていなかった。
「ちょ・・・っと、イルカ、先生・・・っ」
平然とした顔をしてはいるが、忍服の中心ではその雄がイルカを求めて猛り狂っているのだ。イルカの手が少し触れただけで痺れるような快楽が全身を襲い、カカシはきつく眉根を寄せていた。
止めさせたいのに、イルカの手を強く防ぐ事が出来ない。
「年末年始は俺も仕事してたんですっ。明日はその代休を取ってあります!」
「え・・・?」
手を止めないまま叫ぶようにそう告げられ、カカシの動きが止まる。その隙にズボンの前を寛げたイルカが、痛い程に猛り育っていたカカシの怒張を中から取り出した。
「・・・っ」
大きさに慄いたのだろう。イルカが小さく息を呑む。
恥ずかしがり屋なイルカの頑張りもここまでだろう。
ピタリと動きを止めたイルカを見下ろしながらそんな事を思い、苦笑を浮かべるカカシはこの時、すっかり失念していたのだ。
恥ずかしがり屋なイルカは、頑張り屋でもある事を。
「・・・ッ!」
気付いた時には、はち切れんばかりに育っていたカカシの愚息は既に、イルカの熱い口腔内にあむと咥え込まれており、カカシはその深蒼の瞳を大きく見開いていた。