寄り添う心 6







目を閉じた途端に、ねっとりとした舌が耳を這う。
「あ・・・っ」
それと同時に、カカシの熱い息も感じてイルカはぞくぞくっと身体を震わせた。
耳の形をなぞる様にカカシの舌がゆっくりと動く。それに合わせるように、イルカのオスに触れたままの手もゆっくりと擦り始めて。
「あっ、あ・・・っ」
我慢したら駄目だと言われたから、声を抑える事も出来なくて。口から高くて甘ったるい声が漏れた。
男なのに、そんな声が出るのが恥ずかしい。
でも、そんなイルカにカカシが「声、かわいいよ?すごくかわいい」なんて耳元で囁いてしまうから。
無意識に小さく抑えていた声が、だんだん大きくなっていく。
くちゅという水音と一緒に、耳の奥に舌が侵入してくる。その耳元では、カカシの指が、耳の後ろや耳朶なんかを絶えず弄っていて。
「あっ、ん・・・っ」
ふるふると震えているイルカの耳に息を吹き込みながら、カカシが耳朶を含み舌で転がす。その間も、すっかり硬く大きくなったイルカのオスを器用な手は規則的に擦り続けているから。
気持ち良さと身体に篭る熱で、イルカはどうにかなってしまいそうだった。
(怖い・・・っ)
絶え間なく与えられる過ぎる快感に、心がついていけない。不安になってくる。
手が縋るようにシーツを掴み、引き寄せる。
嫌。
そう口から零れそうになる前に、カカシが「大丈夫」と耳元で小さく囁いた。
「怖くないよ。大丈夫。ゆっくり息を吐いて・・・」
愛撫の手を止めて、カカシが髪を撫でてくれる。
荒くなって苦しかった息を、ゆっくり長く吐くことで徐々に治めた。そんなイルカを「ん、上手・・・」とカカシが褒めてくれて。
「目を開けて、ちゃんとオレを見てて」
そう言われて、イルカはぎゅっと閉じていた目をそろそろと開けた。
視界いっぱいにカカシの端正な顔があって、イルカの胸がきゅんと高鳴る。
(カカシ先生・・・)
「・・・うん」
イルカの心の声にそう返事をしながら愛おしそうに見つめてくるカカシの顔を見たら、あれほど感じていたイルカの不安が小さくなった。
(カカシ先生、カカシ先生・・・っ)
心の中で何度も何度もカカシの名を呼んで、シーツを握り締めていた手を放してカカシへと片手を伸ばすと、カカシはその手を取って自分の胸へと持って行き、浴衣の上から触れさせた。
「オレにも触ってて?一緒なら怖くないから」
イルカ先生も触ってくれるんでしょ?
落ち着いた、静かな声でそうカカシは言っているけれど、手から伝わってくる胸の鼓動はとても早くて。カカシもイルカと同じなのだと思ったら、胸のどきどきは収まっていないけれど、不安はすっかり消えていた。
カカシを見上げて、こくんと頷いて。
イルカはそっと浴衣の中へと片手を滑らせた。
イルカの汗ばんだ手が、カカシのしっとりとした綺麗な肌に吸い付く。
胸からよく鍛えられた腹筋へと手を滑らせて、カカシの浴衣を肌蹴ていく。
カカシはそんなイルカをじっと見ているだけで、何も言わない。何も言わないということは、続けていいのだろうと勝手に解釈して、イルカはもう片方の手も伸ばして両手でカカシの肌にぺたと触れた。
そうして、カカシの肩の辺りから窪んだ鎖骨や心臓、臍へと、手を下へ下へと滑らせて行って、腹から両脇へと移動し、腰の辺りに手を回す。
そのイルカの一連の動作で、カカシの浴衣はすっかり肌蹴て白い肌が露になっている。
中途半端に肌を露出させたその姿は、さっき上半身裸のカカシを見たというのに、それ以上に艶めいた色香を漂わせていて。
イルカの身体の中の、欲情という熱い炎が燃え上がる。
(キス、して欲しい・・・)
口に出して言うのは恥ずかしいから心の中でそう強請ると、ふっと口角を上げたカカシがすぐに口付けを落としてくれる。
「・・・他には?あぁ、次はちゃんとこの可愛らしい口でおねだりしてね?」
ちょんとイルカの唇に人差し指を当てながら楽しそうにそう言われて、イルカはかぁと赤くなりながらも、おずおずと自分の希望を口にした。
「俺にも・・・触って欲しい、です」
イルカのその言葉を聞いたカカシが、ふわりと嬉しそうな笑みを浮かべる。それはもう見惚れるほどの綺麗な微笑み。
そんなカカシに見惚れていたら、浴衣の裾が肌蹴られて手が滑り込んできていた。
「んあッ!」
すっかり大きくなっているイルカのモノを、下着の上からカカシの手がぎゅっと握ってくる。
そのまま擦られて、強い刺激に下着がじわりと濡れてきた。
「・・・脱ぐ?」
濡れちゃうでしょ?
もう片方の手でイルカの胸元を肌蹴ているカカシに、首筋を舐められながらそう言われて恥ずかしかったけれど、このままだともっと汚してしまいそうだったイルカはこくんと頷いた。
カカシの手が下着の腰の部分に掛かり、ぐいと引き下ろされる。
「腰上げて」
まるでカカシの声に操られているかのように素直に腰が上がる。するすると、あっという間に脱がされて、その手際の良さにイルカは嫉妬した。
イルカはこんなにもいっぱいいっぱいなのに。
カカシの背に回している手も、ぎゅっとしがみ付いているだけで少しも動かせないくらいなのに。
カカシが凄く手馴れているのがとても嫌だと思う。悔しい。
過去にカカシに抱かれただろう、たくさんの女たちに嫉妬してる。
そんな嫉妬、しても無駄だとイルカも思うけれど。それでも、嫉妬する心を抑えられない。
カカシはこれまで、いっぱい女の人とこんな事をしてきたのに違いないのだ。
(カカシ先生のエッチ・・・っ)
むぅと唇を尖らせて、快感とも羞恥とも違う涙を浮かべながらカカシを睨むと、カカシが目を見開き、続いてつらそうな表情を浮かべた。
「ゴメン、イルカ先生。我慢できなくなってきた・・・」