正しい犬のしつけ方 2






「カカシ先生に担当していただく子供たちは、ちょっと個性がありますが、でも、とてもいい子たちばかりなんです」
子供たちの待つ教室へとカカシを案内して歩きながら、イルカはそう切り出した。
カカシに、少しでも子供たちの事を知っておいて欲しかったから。
嫌がられないといいと思いつつ恐る恐る続けるイルカに、気配も足音も全然しないが、後ろからついてきているだろうカカシは黙ったまま。
「うるさい」「関係ない」と言われないことにホッとしつつ、特にナルトの事について熱く語り始めた時だった。
後ろからぐいと手を引かれた。
イルカの視界がぐるんと回る。
その間に、ガラッという音と、ピシャンという聞きなれた音がしたから、どこかの教室に入ったのだと分かった。
それに、教室に入った途端、気管に引っかかるような埃っぽいその空気に、入ったのは長く使われていない教室なのだとも。
回っていた視界が止まったと思ったら。
ダンッという大きな音と同時に腹に衝撃を受け、イルカの目の前に埃を被った教卓が現れた。
しかも、誰かに背後から強い力で押さえつけられている。
「な・・・っ」
あまりにも突然すぎる出来事に、イルカはまともに抵抗する事も、声を上げる事すら出来なかった。

多分、イルカの片腕を取り、背後から押さえつけているのはカカシなのだろう。
イルカのうなじの辺りから聞こえる、すんというその音は、つい最近聞いたものだから。
「っ!何するんですかっ!」
その音を聞いて我に返り、じたばたと身を捩って暴れてみるが、中忍のイルカが上忍のカカシの拘束を解けるはずもなく。
「だって・・・っ、すっごいいい匂いが・・・」
カカシのそんな声がしたと思ったら、背中に伸し掛かられた。
教卓に腹を乗せる格好をさせられているイルカだから、そうされると苦しくて。
「どい、て・・・っ、下さいっ」
ぐぅと呻りつつそれでもお願いをしていると。
ぺたりと背中全体に暖かい体温が触れ、すんすんと首筋の辺りでまた鼻を鳴らす音がした。
それどころか、すぅと肺いっぱいに息を吸い込む音まで。
(思いっきり嗅いでる・・・っ)
はぁという満足げな溜息と同時に、「やっぱりいい匂いだー」と呟くカカシの声を聞いて、イルカは羞恥だけで人は死ねるのだと思った。
体温がカッと一気に上がる。
心臓がばくばくと煩くて、顔はとてつもなく熱い。
多分、このままだとイルカは死ぬ。恥ずかしくて死ぬ。
内勤のイルカは滅多に任務に行くこともないから、慰霊碑に刻まれることなんてないだろうとは思っていたが。
(こんな事で死にたくないっ!)
羞恥で死ぬなんて、死んでからとてつもなく恥ずかしいではないか。
どうせいつか死ぬのなら、イルカはたくさんの教え子たちに看取られながら、穏やかに死にたいと思っているのだ。
よぼよぼの老人になるまで生きて、教え子たちの活躍をしっかり見届けて。
特に、火影になると言うナルトの活躍を見届けるまでは絶対に死ねない。こんな事で死んだりしたら、化けて出そうだ。
あまりの状況に混乱しているのか、そんな馬鹿な事を考えながら、イルカは首を捻って背後で相変わらずイルカの匂いを嗅いでいるカカシを睨みつけた。
「ど、け・・・ッ!」
この際、上忍であるカカシに対する敬語など取っ払う。
こんな無体な事をする輩に、敬語など必要ない。
だが。
カカシは、そんなイルカの渾身の睨みも命令口調も何のその。
「ヤだ」
つんと唇を尖らせたと思ったら、一言そう言ってイルカにぎゅっと抱きついてきた。
(んな・・・・ッ!)
硬いものが当たっている。イルカの尻に、硬いものが。
それが何なのかなんて、想像もしたくない。
当たっちゃったなんていう可愛らしいものではなく、ぐいぐいとはっきりとした意思でもってカカシにソレを押し付けられて、イルカはふぅっと気を失いかけた。
慌ててふるふると頭を振って気をしっかり保つ。
こんな時に気を失ったりしたら、何をされるか分かったものじゃない。
そんなイルカの耳元で、カカシが楽しそうに囁く。
「ここのところ忙しくてしばらくヤってなかったからかなぁ・・・。イルカ先生のいい匂い嗅いでたら、勃っちゃった」
「何、言って・・・っ」
「このままだとつらいから、オレと一緒にイイ事しよ?イルカ先生の体温が上がると、もっといい匂いがするみたいだから」
すんすんと匂いを嗅ぎながらそう言うと、カカシはぎゅっとイルカの股間を握ってきた。
「ぅぎゃあッ!ど、どこ触って・・・ッ!」
恥ずかしい所を握られたイルカの口から、断末魔のような叫び声があがる。
「しー、静かにしないと誰か来ちゃうよ?」
潜められたカカシのその声に、いっそ誰か来て欲しいと思ったが、男に襲われそうになっているこの状況を誰かに見られたりしたら、本当に羞恥で死ぬ。
しかし、さっきからこの状況を脱出しようと試みているのだが、カカシの拘束は一向に緩む気配を見せないし、自由な方の手でカカシの手を引き剥がそうともしているのだが、びくともしない。
(くそ・・・ッ!)
力が駄目なら言葉だと、ズボンのボタンを片手で器用に外し始めたカカシの気を逸らすため、イルカは急いで口を開いた。
「ここをどこだと・・・っ」
「アカデミーでしょ?いいじゃない。ここ、使ってない教室みたいだし」
「駄目ですよッ!第一、子供たちが待って・・・っ」
「あー、待たせておけばいいよ。待つのも修行のうちだから」
そんないい加減な事を言いながら、カカシの手がイルカのズボンを寛げ、ついに下着の中へと入り込んでしまう。
「あッ!」
小さく縮んでしまっているイルカのソレの先端を、カカシの手がやわやわと揉んで刺激してくる。
ソコを弄られて、ポッと小さく灯った火照りが、徐々にイルカの身体を侵食し始めた。
「ん・・・っ」
じわじわと沸き起こる快楽に、唇を噛み締めて漏れそうになる声を押し殺す。
同じ身体を持つ男に触られて感じるなんて、物凄い屈辱だ。だが、同じ男だからこそ分かるその手の動きに、快楽にあまり慣れていないイルカの身体が、イルカの意思を裏切って応え始めた。
「や、め・・・っ」
「やめない。だって、勃ってきたもん。気持ちいいんでしょ?」
荒い息を吐きながら止めてくれと言うイルカに、背後のカカシが即答する。
(くそっ、否定できん・・・っ)
イルカのソコは、カカシの手によってすっかり形を変えていたから。
イルカの片腕を拘束していたカカシの手は、いつの間にか消えていたのに、カカシの器用に動く手に弄られてすっかり快楽に堕ちていたイルカは、みっともなく座り込んだりしないよう、ただ目の前にある教卓にしがみ付いているしか出来なくなっていた。