正しい犬のしつけ方 12






カカシに触れてもらい、身体が喜んでいる。
(嫌だ・・・っ)
そう思うのに、カカシが与えてくれる快楽を貪欲に求めるイルカの身体は、イルカの言う事を全く聞いてくれず、まともに抵抗すら出来ない。
カカシとの初めての深いキスが、イルカの身体からどんどん力を奪っていき、イルカはその腕に縋る事しか出来なくなっていた。
カカシの舌が、イルカの咥内を舐め上げていく。
始めの激しさは消え、今はただ。
トロトロに蕩けそうになるほどの口付けをカカシから与えられたイルカは、泣きそうになった。
勘違いしてしまいそうだった。
カカシに、恋人同士がするような甘いキスをされて。
イルカの匂いに発情するカカシと、そんなカカシに触れられて、欲情するようになってしまったイルカ。
今の二人は、そんな、身体だけの関係でしかないのに。
そんなふしだらな関係、嫌だと思うのに。
「ぁふっ、ん・・・っ」
唇の隙間から漏れる甘い吐息を我慢出来ない。
カカシの身体を、強く押し返す事が出来ない。
腕に辛うじて引っかかっていた鞄がドサリとずり落ち、それを機にカカシの手がベストに掛かったのを感じたイルカは、首を振ってカカシの唇から逃げようとした。
唇が少し離れた隙に嫌だと拒絶の言葉を口にしようとしたが、追いかけてきたカカシの唇に、何も言わせないとばかりに再度塞がれた。
ベストの前を寛げられ、アンダーの裾からカカシの少し冷たい手が滑り込んでくる。
(嫌だ・・・っ)
たったそれだけで、その手が胸の飾りを弄ってくれると期待したイルカの身体は、勝手にそこを尖らせ始めたのだろう。
アンダーに擦れたそこが、イルカの身体に微かに痺れを与え、胸元に這い上がってきたカカシの指が、イルカの期待通り、そこを指の腹で押し潰すように刺激した事で、さらなる痺れをイルカにもたらした。
「んぅ・・・っ」
態度では嫌だと言っていても、身体は嬉々としてカカシの手に応えてしまっている。
カカシが与えた刺激に顕著に反応を返すイルカをどう思ったのか、口付けているカカシがふと笑みを浮かべた気がした。
(嫌だ・・・っ)
目頭が熱くなる。
そんなイルカの身体を、カカシが閉めた扉に押し付けてくる。
両膝を割って入ってきたカカシの太腿が、ぐいぐいとイルカの股間を押して刺激する。
「んんっ、ん・・・っ」
そうされると、イルカが高ぶってしまっている事をカカシに知られた上に、太腿に当たるカカシの雄が猛っている事にも否応なく気づかされ、イルカは顔を赤らめた。
カカシが発情している。
当たり前だ。
きっと、今のイルカの身体からは、カカシを誘う匂いがたっぷりと出ているに違いない。
発情期のメス犬のように、カカシを誘う淫らな匂いが。
ようやく口付けを解いたカカシが、カカシの身体を力の入らない手で緩く押し返しているイルカに、ぐいと腰を押し付けてくる。
「・・・イルカ先生、すごい匂いがしてる・・・」
少し息を荒げたカカシにそんな事を言われて、イルカの体温がさらに上がった。
否定する言葉を口にしたかったが、イルカの身体はもう、カカシの手に堕ちてしまっていて。
首は振っていても、カカシが首筋の匂いを嗅ぐ、すんという音に身体を震わせた。
ツンと尖った乳首を指の腹で何度も捏ねられて、下腹部にジンと痺れが走った。
カカシの引き締まった太腿が、イルカの欲望を擦り上げるたび、ジワリと下着が濡れる。
「あっ、ぁん・・・っ、あ・・・っ」
否定しようにも、イルカの口からは、刺激を絶えず与えてくるカカシに媚びるような高い声が出ていて、拒絶していたはずの手も、もっと、とでも言うようにカカシの腕に縋り、その身体を預けてしまっていたイルカは否定しようがなかった。
「・・・ウソ。気持ちいいくせに・・・」
そんな状態でも懸命に首を振り続けるイルカにそう言って、力の入らないイルカの身体をクルリと返したカカシが、イルカの背後から身体を押し付けてくる。
カカシがその手を前に回し、イルカのズボンを寛げながら腰を押し付け、高ぶったカカシの欲望がイルカの尻の合間をグイと押してきた。
「ぁふ・・・っ」
そうされると、布越しではあったが、痛いほどに高ぶっているイルカの怒張にカカシの手が当たり、そこに触れてもらえる期待から、イルカの口から甘い吐息が零れた。
ズボンの前が寛げられ、それと一緒に下着も下ろされる。
カカシの手が、イルカの濡れた先端に少し触れた。
「ぁん・・・ッ!」
その手が器用に動く事を知っているイルカの身体は、カカシにソコを少し触れられただけで、もっとと強請るようにフルフルと震えた。
そんなイルカの期待を裏切る事無く、カカシが指で輪を作り、イルカの括れを強く擦りながら扱き上げ始める。
「あっ、あぁっ!ん・・・っ」
カカシの手に押し付けるかのように腰が揺れるのを止められなかった。
張り出した亀頭の先からトロトロと溢れ出したイルカの淫らな汁を、カカシの手が馴染ませ拡げるように扱いていく。
「ぃやだ・・・っ、や・・・っ」
少し触られただけなのに、もうイってしまいそうな身体を抱えていながら、まだ首を振ってカカシの手を拒絶するイルカの口に、乳首を弄っていたカカシの手が伸びてくる。
「さっきから、イルカ先生そればっかり・・・っ。身体はこんなに正直なのに、どうして・・・っ」
「んぅ・・・っ、ぁふ・・・っ」
いつの間に手甲を外したのか、長く器用な指がイルカの咥内に入ってきて、舌を絡め取られ、拒絶の言葉が出せなくなる。
印を組む大切な指。
そう思ったら、口を閉じることも出来なかった。
「こうやってオレに触って欲しかったんでしょ・・・?」
「んぁあッ!」
イルカの怒張を扱くカカシの手が早さを増す。
ぐちゅぐちゅといういやらしい音がイルカの耳を犯し、ぎゅっと目を閉じているイルカの耳元で、カカシが卑猥な声でさらに囁く。
「・・・イルカ先生の身体は正直だよ・・・?オレに触られて嬉しいって、こんなに涙零してる。・・・ホントはもっとして欲しいんでしょ?」
カカシの、魅惑的なその囁きに頷きそうになるのを懸命に堪えて、イルカは首を振った。
何度も何度も。
(嫌だ・・・!)
もう何度思ったか知れない事を再度、強く思う。
嫌だった。
こんな、身体だけの関係なんて絶対に嫌だと思うのに、身体が全く言う事を聞いてくれない。
「ッふ・・・ッ!」
カカシの手がはち切れそうになっているイルカの熱棒をきつく握り込み、追い上げるかのように扱き始める。
我慢を重ねていたイルカには、身を捩ってその手を拒絶する暇も無かった。
「やッ、ぁああッ!」
カカシの手によって無理矢理絶頂を迎えさせられたその瞬間。
顎を突き出し、カカシの手に白濁の体液を吐き出すのを感じながら、イルカはその瞳から、快楽によるものではない涙を零していた。