恋情に舞う夜 8 暗い室内に、くちゅくちゅと卑猥な水音が響いている。 「ぁン、ん・・・っ、あ・・・ッ」 高く掲げた臀部から聞こえてくるその水音に合わせるように、柔らかな布団に顔を埋めるイルカの身体が、ビクビクと跳ね上がる。開いたままの口から嬌声が上がる。 潤滑液でとろりと滑るイルカの秘孔に二本の指を埋め解しながら、大きな傷跡が残るイルカの背を、カカシの唇が吸い付いては、熱い舌でつつと舐めていく。 あちらこちらを弄られ、喘ぎ過ぎて意識が朦朧とする。少し顔を横に倒せば、涙で霞んだ視界の中でも、布団をきつく握り締めている自分の手が、あまりの快楽にふるふると震えているのが分かる。 手だけではない。カカシの節ばった手に握り込まれ、ゆるゆると扱かれているイルカの雄も、その先端から涙を零しながら、今にも弾けてしまいそうな程に張り詰め震えていた。 前と後ろ。両方から与えられる強烈な快楽は、イルカがカカシと身体を重ねるようになるまで知らなかったものだ。 カカシの指が蠢くたび、イルカの内部の悦い部分にその指先が当たり、思うまま吐き出してしまいたいという刹那的な欲求がイルカを襲う。 「・・・っふ、・・・も、駄目・・・です・・・っ」 瞬間詰めた息を吐き出しながら、きつく握っていた布団を放したイルカは、震えるその手を下肢へと伸ばした。自らの熱欲を扱くカカシの手を阻み、愛撫の手を止めて欲しいと掠れた声で懇願する。 このままでは、挿れられる前に達してしまう。自分だけ先に達するのは嫌だ。 乱れた黒髪の合間からカカシへと視線を向ける。そうしてイルカは、きゅっと眉根を寄せ、まだ愛撫の手を止めてくれないカカシを叱るように睨んだ。 「いっちゃ・・・うから、だめ・・・っ」 そう言ったイルカの渾身の睨みは、カカシの目には可愛らしいものとしか映らなかったらしい。ふと苦笑したカカシの深蒼の瞳が愛おしそうに細められ、だが、ようやく愛撫の手が止められる。 「もうダメ?」 その問い掛けにこくこくと頷く。すると。 「んぁ・・・っ」 ぬちゅと卑猥な水音を立てて、イルカの秘孔からカカシの指が引き抜かれた。とろとろに解れた秘孔をカカシの節ばった指が擦る確かな感触に、イルカの身体が震え、口からは甘い吐息が零れてしまう。 そんなイルカの身体をコロンと返したカカシが、イルカの両脚をその腕に抱え上げた。引き寄せられ、腰がカカシの膝の上へと乗せられる。 見上げるイルカの涙で霞む視界に、カカシの良く鍛えられ均整の取れた上半身が映り込む。それと同時に、その先端からしきりに蜜を零す自らの熱欲まで視界に入ったイルカは、荒い息を吐く口元に手の甲を押し当て、僅かに顔を逸らした。 挿入される前のこの瞬間が堪らなく恥ずかしい。襲い来る羞恥に心臓が止まってしまいそうになる。 カカシがその身体をゆっくりと倒し、イルカの脇に片手を付く。それに伴い、両脚がさらに大きく割り拡げられ、指を失ってはしたなくひくつくイルカの秘孔に、カカシの熱が押し当てられた。 (あ・・・) すぐにやってくるだろうその瞬間に備え、縋るようにシーツをきつく握り締める。 「息吐いてて・・・?」 ちゅっと軽く口付けるカカシからそう言われたイルカは一つ頷き、言われた通り、震える息をゆっくりと吐き出した。 カカシの張り詰めた先端が、イルカの呼吸に合わせ、ゆっくりとイルカの秘孔を侵していく。 「んぁ・・・っ、アア・・・ッ!」 丁寧に解されていたそこは、イルカに僅かな痛みと、カカシで満たされるような圧迫感。それから、疼く内部に痺れるような快楽を与えてくる。 カカシの刀身に侵され背を反らしながらも、あと少しだと、イルカは懸命に息を吐いた。だが。 (え・・・っ?) カカシの侵入が、イルカの知る場所で止まらない。イルカの知らない奥へと、さらに進んで行こうとしている。 「ん・・・ッ!」 「・・・ッ」 カカシの逞しい雄で内壁をぐぐと押し上げられたイルカはその瞬間、ぎゅっと瞳を閉じ、吐いていてと言われていた息を詰めてしまっていた。 「ダメ、息詰めないで・・・っ」 途端聞こえてきた辛そうなその声に、イルカは涙が浮かぶその瞳を恐る恐る開けた。見上げた先に居るカカシの、その姿を見たイルカの胸がきゅんと高鳴る。 イルカも同じ男だから分かる。汗が滲むその顔に、きつく眉根を寄せ、何かに耐える表情を浮かべているカカシは今、一気に突き上げてしまいたい衝動を懸命に抑えてくれているのだろう。 「お願いだからオレを全部飲み込んで。奥まで受け入れて・・・?」 イルカの瞳から零れ落ちた涙を、その掌で優しく拭ってくれていたカカシにそう言われ、驚きに僅かに瞳を見開くイルカは少し気が遠くなるのを感じた。 どうやらカカシはこれまで、その全てをイルカの中に挿れていなかったらしい。どうりで、男を受け入れるのは初めてだったはずのイルカの身体が、それ程辛くなかったわけだ。 (もうっ、何で・・・っ) その事を問い詰めたいが、その前に。 中途半端なこの状態を何とかしなければカカシが辛い。詰めていた息を再度、ゆっくりと吐き出す。 「・・・っは・・・っ」 「ん・・・、上手」 カカシがイルカの奥へと進んでいく。 ぐぐと押し上げられる感覚に詰めそうになる息を短く吐き出しながら、イルカはカカシの手に自らの身体を委ねた。 ぴたりと身体が合わされたのだろう。カカシが心地良さそうな熱い吐息を零しながら、イルカの身体をきつく抱き締めてくる。 (あ・・・) 重なる身体から伝わるカカシの鼓動と同じ間隔で、カカシの熱が、イルカの中でどくどくと脈打っているのが分かる。 初めて受け入れるその場所は、とても深くて少し怖かったけれど、それと同時に、カカシをこれまで以上に近く感じさせてくれて嬉しかった。 それはカカシも同じだったらしく、少し身体を起こしたカカシが、その顔に蕩けそうな程に嬉しそうな笑みを浮かべている。 「・・・受け入れてくれてありがと」 そう言ったカカシから、涙の痕が残る目尻にちゅっと口付けられたイルカの顔に、へへと面映い笑みが浮かぶ。 「あ、でも・・・!」 「どうして全部挿れてなかったのか?」 笑みを消したイルカが問い詰めようとした事を、柔らかな笑みを浮かべるカカシに先に告げられ、イルカの顔が羞恥に染まる。 軽く睨み上げながら小さく頷くイルカに、苦笑を浮かべたカカシは、その深蒼の瞳を愛おしそうに細めて見せた。 「イルカ先生、どれだけ辛くても『いいから』って受け入れちゃうでしょ?初めてのイルカ先生に辛い思いはさせたくなかったし、イルカ先生の身体が慣れるまではと思って。・・・痛くない?」 それを聞いたイルカは、嬉しさから危うく泣きそうになってしまった。きゅっと眉根を寄せてそれに耐えながら一つ頷き、カカシの背に手を回す。ぎゅっと抱きつく。 「俺、男なんですからっ。そんなに大事にしなくていいです・・・っ」 震える声でそう告げてみると、また苦笑したのだろう。カカシが小さく笑う気配がした。 「ゴメンね・・・?でも、あなただから大切にしたかったんです」 耳元で告げられたその言葉に、イルカの瞳から我慢していた涙が溢れ出す。 「・・・好き、ですっ。カカシさん、好・・・んッ」 胸に溢れる想いを口にすれば、それがカカシの劣情を刺激する切っ掛けになったのだろう。怖い程に険しい表情を浮かべたカカシに、吐息すら飲み込まれそうな口付けをされたイルカは、そのまま嵐のような激しい情交の海へと投げ出された。 |
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