繋いだこの手を離さない 番外編 中編 アンダーの裾から侵入したカカシの片手が、イルカの小脇に置かれている。 その親指が絶えず刺激するのは、イルカの胸元にある小さな突起だ。 「・・・っふ、ぁ・・・」 ぷっくりと膨らんで来た小さな突起を指の腹で捏ねるように刺激されると、弱い電気を流されているかのような未知の感覚がイルカを襲う。 あの夜にもここを愛撫された記憶はあるが、こんなにも感じてはいなかった気がする。 前回とは違い、多少なりとも余裕があるからだろうか。カカシから与えられる愛撫の一つ一つが、堪らない刺激となってイルカの官能を呼び起こす。 「・・・気持ちイイ?」 耳元で低く囁かれ、イルカは小さくいやいやと首を振る。 そんなに艶のある声で囁かないで欲しい。聞いているだけでどうにかなってしまいそうだ。 ぎゅっと閉じていた漆黒の瞳を開き、快楽に潤み切った視界の中で、イルカはカカシの深蒼の瞳を探す。 「ん・・・?」 そんなイルカにすぐに気付いてくれたカカシがイルカの視界に映り込み、カカシの深蒼の瞳を捉えたイルカは、僅かに震えるその唇をゆっくりと動かした。 「・・・みみ、しゃべらな・・・ッン!」 耳元で喋らないで欲しいと、最後まで言えなかった。 カカシのその声すら感じるのだと言っているも同然な声でそう訴えた途端、イルカの身体がビクンと大きく跳ね上がる。 親指と人差し指でイルカの胸の突起を挟んだカカシが、そのままきゅっと軽く引っ張ったのだ。 それだけではない。 耳元へと再び移動したカカシの唇が、首を竦めるイルカの耳朶を柔らかく食んでいる。ぴちゃと濡れた水音がすぐ側で聞こえ、ぎゅっと瞳を閉じたイルカはぞくぞくと背筋を震え上がらせた。 耳朶から中へと移動したカカシの舌先が、イルカの耳殻をなぞる。 「ゃ・・・あッ、ア、ん・・・っ」 耳がこんなにも感じるなんて知らなかった。 胸の突起を弄られながら耳の中央にある軟骨を軽く齧られ、ふるふると快楽に震えるイルカは、立てた膝頭をもどかしく擦り合わせる。 触って欲しい。 忍服の中で大きく育っている雄を、カカシの器用な手で触って欲しい。 「カカ・・・さま・・・っ」 喘ぎの合間、イルカの口から思わず漏れたカカシの名。 思っていた以上にはしたない声が出てしまい、イルカはかぁと羞恥に顔を赤らめる。 だが、はしたない声だと思ったのはイルカだけだったらしい。 「かわいい声」 イルカの耳元でカカシのそんな嬉しそうな声が聞こえ、胸の突起を弄っていたカカシの手が、イルカの下肢へすっと移動する。 「・・・ココ?」 「んん・・・ッ!」 ズボンの前が寛げられ、中で育っていた雄の先端を弄られたイルカは、その身体を大きく跳ね上がらせていた。 自分よりももっと器用に慰めてくれると知っているカカシの手に弄られ、身体が喜んでいるのが良く分かる。 いくら防音設備のしっかりしている上忍寮とはいえ、しきりに上がる嬌声を少しは抑えた方が良い気もするが、薄っすらと開けた瞳の先。涙に揺れるイルカの視界の向こうに、愛おしそうに眇められているカカシの深蒼の瞳を見つけてしまうと、イルカは、カカシに与えられる愛撫が気持ち良いと雄弁に伝えられる嬌声を抑える気にはどうしてもなれなかった。 「んぁ・・・っ、あッ、ふ・・・っ」 大量の涙を次々に溢れさせている先端を執拗に弄られ、強い快楽の波に襲われるイルカはいやいやと首を振る。 愛撫の手を緩めて欲しいわけではない。 眩暈がする程に気持ち良いと知っている遂情の瞬間が、すぐそこまで迫っているのだ。ここで緩められたら逆に困ってしまう。 だが、眩暈がする程に気持ち良いと知っているからこそ、もうすぐ訪れるその瞬間が少しだけ怖い。 そんなイルカに気付いているのだろう。繋がれているカカシの手に力が込められ、シーツにしっかりと縫い止められたイルカは、すぐ側に居るカカシの首筋に顔を埋めた。 遂情が近い事をカカシの耳元で小さく訴えると、「イっていいよ」と優しく促され、もう片方の手に触れるカカシのアンダーをしっかりと握り締めたイルカは、その瞬間に備える。 「んッ、ん・・・ぅ・・・っ」 そうしてすぐに訪れた絶頂は、絶頂を迎えても愛撫の手が緩められなかったからだろう。終わらないのではと思う程に長く続いた。 身体の中で暴れる快楽を逃そうとするも、慣れないイルカは息を吐き出す事すら出来ず、ただただ翻弄される。 ぎゅっと瞳を閉じたまま嵐が通り過ぎるのを待ち、痙攣するかのように身体をビクビクと震わせながらカカシの手の中に全て吐き出したイルカは、硬く強張らせていた身体からゆっくりと力を抜いた。詰めていた息を、熱く大きく吐き出していく。 「・・・大丈夫?イルカ先生」 イルカの乱れた黒髪に口付けるカカシからそう訊ねられ、荒い息を吐くイルカは小さく頷く。 「・・・だいじょ・・・ぶ、です・・・」 なかなか終わらない絶頂に少し恐怖を感じたが、カカシがしっかりと手を繋ぎ、離さないでいてくれたから耐えられた。 ほぅと安堵の溜息を零していると、「ちょっと待ってて」という言葉と共にイルカの額に口付けが落とされ、それまで決して離される事のなかったカカシの手が離れていく。 (・・・?) どうかしたのかと不思議に思ったイルカが、閉じていた瞳を開けたその先。 ベッドの下に落とされていたポーチから、中の液体がとろりと揺れる小さな瓶を取り出すカカシの姿を見止めたイルカは、その首を小さく傾げていた。 そんなイルカに気付いたカカシが、用の無くなったらしいポーチをベッド下に落としながら、ふと小さく苦笑してみせる。 「使ってもイイ?もうケガはさせたくないから」 「・・・っ」 カカシのその言葉で、小瓶の中に入っている液体が何なのか理解したイルカの顔が、かぁと羞恥に染まる。 落ち着き始めていた鼓動が再び高鳴っていく中、恥ずかしがりながらも小さく頷いて見せたイルカの下肢からズボンが剥ぎ取られ、蓋を開けた小瓶からとろりとした液体を手に取ったカカシが、「少し冷たいですよ」と言い置き、濡れるその手をイルカの下肢へと伸ばす。 「ん・・・っ」 遂情したばかりで熱の引いていない身体には、その冷たさがより鮮明に伝わった。 潤滑液をたっぷりと纏ったカカシの手に秘部を撫でられ、小さく身体を震わせたイルカを宥めるように、ちゅっと軽い口付けがいくつも落とされる。 離れていたカカシの手が再びイルカの手を絡め取り、それにホッと安堵したのも束の間、奥に隠されていた秘所を指先でそっと撫でられたイルカは、その身体を僅かに強張らせていた。 「・・・イヤ?」 途端、指先の動きを止めたカカシから小さくそう問われ、見上げるイルカは急いで首を振る。 カカシに求められて嫌なはずがない。ただ、身体が勝手に―――。 「じゃあ、怖い・・・?」 続いてそう問われたイルカの瞳が僅かに見開かれる。 (・・・あ・・・) 視線の先。見下ろしてくるカカシの深蒼の瞳に、後悔の嵐が渦巻いている事に気付いたイルカの漆黒の瞳が切なく眇められる。 あの夜の痛みを覚えていたらしく、勝手に反応した身体が忌々しい。 怖くなんか無い。カカシに求められて凄く嬉しい。 「・・・カカシさま」 再度首を振りながら、イルカは小さくカカシの名を呼ぶ。手を伸ばし、掴んだカカシのアンダーを引き寄せる。 イルカの身体が覚えているのは痛みだけではない。発熱してしまった程に愛された身体は、カカシに与えられた快楽を忘れてはいない。 「カカシ様、カカシさま・・・っ」 身の奥で疼き始めた熱。 それを満ち溢れる程に宥めてくれると知っているカカシを見上げながら、イルカは焦がれるようにカカシの名を呼ぶ。 強請るようなその声で、イルカの望みに気付いてくれたのだろう。 「・・・痛かったり、怖くなったら言って」 「ん・・・っ」 愛しむような笑みを小さく浮かべたカカシのその言葉と同時に、滑る指先がイルカの内部へゆっくりと埋め込まれて行った。 |
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